Innovation Nippon「生成AIと日本2026」報告書

国際大学GLOCOM2026年版公開: 2026.04NEW

要約

本報告書は、グーグル合同会社がプロジェクトオーナーとなり、国際大学GLOCOM(グローバル・コミュニケーション・センター)が実施した Innovation Nippon プロジェクトの2026年度調査研究報告書である。全国規模のアンケート調査・利用者インタビュー・国内外の文献調査を組み合わせ、 生成AI(大規模言語モデルや画像生成AIなど)が日本社会に急速に浸透する中で生じている利用実態、リテラシー、幸福感、 受容決定要因、そして政策・ガバナンス動向を包括的に分析している。

調査の結果、日本における生成AI利用は普及段階を超えつつある一方、年代・性別・学歴・所得によるリテラシー格差が明確に存在し、 企業導入では「操作教育」は進むものの「運用ガバナンス」の整備が遅れていることが示された。 本報告書はこれらの知見をもとに、3つの戦略的方向性と9つの政策提言を提示する。

439
総ページ数
12
章構成
9
政策提言
3
戦略的方向性

執筆メンバー

プロジェクトオーナーグーグル合同会社
プロジェクトリーダー山口 真一(国際大学GLOCOM 教授・主幹研究員)
共同研究員渡辺 智暁(教授・研究部長・主幹研究員)/ 逢坂 裕紀子(研究員)/ 大島 英隆(研究員)
実施期間2025年4月 〜 2026年3月
発行国際大学GLOCOM(2026年4月)

章構成

1調査の実施方針等

研究の背景・目的、生成AIの定義、文献調査・アンケート調査・インタビュー調査からなる調査研究手法を整理。

2生成AIの利用状況

生成AIサービスの認知度・利用率、プライベート/仕事での具体的な利用方法を調査。ChatGPTが認知・利用の両面で突出している状況を明らかにした。

3生成AIリテラシー

独自のリテラシーテストにより正答率を分析。年代・性別・学歴・所得による格差が存在し、若年層・高所得層ほどリテラシースコアが高い傾向が示された。

4生成AIへの評価

総合的評価、AIに委任することへの評価、情報の信頼性への見方を分析。タスクによって受容度合いが大きく異なる。

5政府・企業への要望

生成AIに関して政府・企業に期待される役割、リスク低減に向けて取り組むべき主体を利用者の視点から整理。

6企業での生成AI活用

企業の生成AI活用状況、導入による効果(生産性向上・時間短縮)、および導入の障壁を明らかにした。

7生成AIの受容決定要因

UTAUT2モデルおよび心理変数群を用いて、利用意図・利用行動を規定する要因を統計的に分析。

8生成AI利用と幸福感の関係性

生成AIの利用状況と主観的幸福度との関連を検証。ポジティブ/ネガティブ両面の関係性を示した。

9タスク委任度と信頼性の関係

生成AIへのタスク委任許容度と信頼度の関係性を分析。どのような領域で委任が進み、どこで忌避されるかを示す。

10擬人化的認知と探索的利用意図

生成AIを人格的に捉える認知(擬人化)が、探索的な利用意図にどのように影響するかを構造モデルで検証。

11導入と定着に関するインタビュー調査

利用者インタビューを通じ、導入から定着までのプロセス、主観的な変化(効率化・創造性)、格差の認識、リテラシーとリスクへの向き合い方を質的に深掘り。

12文献調査

国内外の利用実態・効果・格差・政策ガバナンス動向・利用事例・ガイドラインを網羅的にレビューし、本調査の位置づけを明示。

報告書のグラフ(抜粋)

本報告書の章内に掲載されている主要な図表を抜粋して掲載します。詳細な分析・考察は原典をご参照ください。

図表 2.1:生成AIサービスの認知率(サービス別)
図表 2.1:生成AIサービスの認知率(サービス別)

ChatGPT が他のサービスを大きく引き離して認知されており、Gemini / Copilot が続く構図が示されている。

図表 2.2:生成AIサービスの利用率(サービス別)
図表 2.2:生成AIサービスの利用率(サービス別)

利用経験でも ChatGPT が突出。一方で複数サービスを併用する層は限定的で、サービスの寡占傾向が浮き彫りとなる。

図表 3.4:リテラシー問題の完答率(年代別)
図表 3.4:リテラシー問題の完答率(年代別)

若年層ほど完答率が高く、高齢層で低下する傾向。生成AIリテラシーに明確な年代間格差が存在することを示す。

図表 4.2:生成AIが対応することへの評価(タスク別)
図表 4.2:生成AIが対応することへの評価(タスク別)

定型的な情報整理・要約には肯定的評価が高い一方、重要な判断を伴う領域では委任への抵抗感が強い。

図表 6.1:企業の生成AI活用状況(業務領域別)
図表 6.1:企業の生成AI活用状況(業務領域別)

文書作成・情報収集での活用が先行。コア業務や顧客対応での活用は相対的に限定的にとどまる。

図表 8.1:生成AI利用状況と主観的幸福度
図表 8.1:生成AI利用状況と主観的幸福度

利用頻度が高い層ほど幸福度が高い傾向が観察されるが、因果関係については慎重な解釈が必要である。

出典:国際大学GLOCOM「Innovation Nippon 生成AIと日本2026」報告書(2026年4月)より抜粋。 画像の著作権は国際大学GLOCOMに帰属します。

9つの提言

本報告書では、調査結果を踏まえて3つの戦略的方向性のもとに9つの政策提言を示している。

第一の方向性:社会全体へのAIアクセス拡大
  • 01政策の焦点を普及率から機会格差の縮小へ転換する
  • 02社会全体に向けた基礎的AIリテラシー教育を強化する
  • 03AIリテラシー教育を講座中心から日常利用の中で学べる仕組みへ転換する
第二の方向性:安全で信頼できるAI利用環境の整備
  • 04AIの利用領域と人間の判断の役割を整理する
  • 05企業のAI導入支援を操作教育から運用ガバナンス整備へ重点転換する
  • 06AI利用において検証と批判的思考を重視する教育を推進する
第三の方向性:AI活用による社会的価値の拡張
  • 07企業はAI導入の効果を測定する仕組みを整備する
  • 08行政AIは人の代替ではなく行政サービスへのアクセス改善に活用する
  • 09生成AI社会の目標を効率化ではなく人間の活動の高度化に置く

原典資料

報告書本文(PDF)を閲覧する →ダイジェスト版(PDF) →プロジェクトページ →