令和4年版 中小企業白書

経済産業省令和4年版公開: 2022年4月ページ最終更新 執筆: 白書ポータル編集部

この年版の概要

感染症の長期化に原油・原材料価格の高騰や部材調達難、人材不足が重なる令和3年度の動向を分析。第2部「新たな時代へ向けた自己変革力」として、事業再構築、ブランド構築や人的投資などの無形資産投資、取引適正化と伴走支援を示す。

令和4年版 中小企業白書は、経済産業省(中小企業庁 事業環境部 調査室)が2022年4月に公表した中小企業白書の令和4年版です。中小企業白書は中小企業基本法に基づき、中小企業の動向と講じた施策を毎年国会に報告するもので、例年毎年4月下旬(小規模企業白書と同時に公表)に公表されています。 翌年版は令和5年版 中小企業白書、前年版は令和3年版 中小企業白書です。

公表当時の背景

感染症の流行が2年に及び、行動制限の断続的な実施で対面サービス業を中心に業況の回復が遅れていた。2022年に入るとロシアによるウクライナ侵攻も重なって原油・原材料価格が高騰し、円安も進んで、中小企業ではコスト上昇分の価格転嫁が課題となった。白書は2022年4月26日に閣議決定され、こうした供給面の制約を第1部で扱い、第2部で事業再構築や無形資産投資による自己変革と、取引適正化・伴走支援を論点とした。

この年版のポイント

正式名称・テーマ: 2022年版 中小企業白書 / 第1部 令和3年度の中小企業の動向/第2部 新たな時代へ向けた自己変革力

  1. 第1部では、中小企業・小規模事業者の経営環境は緩やかな回復傾向にあるものの引き続き厳しい状況にあり、業種によっては景況感や売上高が感染症流行前の水準に戻っていないと分析している。2年に及ぶ感染症の流行に、原油・原材料価格の高騰などの供給面の制約が重なっていると整理する。
  2. 第1部では原油・原材料価格の高騰や部材調達難、人材不足といった供給面の制約が中小企業に与える影響を取り上げている。あわせてBCP(事業継続計画)、労働生産性と分配、経営資源の有効活用についても節を設け、中小企業の経営基盤を多面的に分析している。
  3. 第2部第1章「中小企業における足下の感染症への対応」では、感染症が社会全体や中小企業の活動に与えた影響と、感染症下における事業再構築の実施状況を確認している。中小企業が足下の事業継続とその後の成長につなげる方法の一つとして、事業再構築が重要であることを示している。
  4. 第2章「企業の成長を促す経営力と組織」では、中小企業の成長を促すための取組として、ブランド構築や人的資本への投資を始めとする無形資産投資に着目している。ブランド構築では、ブランドコンセプトを明確化し、それを従業員へ浸透させることも必要だと指摘している。
  5. 第3章「共通基盤としての取引適正化とデジタル化、経営力再構築伴走支援」では、取引適正化と価格転嫁、デジタル化の取組状況を取り上げている。あわせて中小企業の経営を支える支援機関の役割と、支援機関による経営力再構築伴走支援の取組についても分析している。

出典: 中小企業庁「2022年版 中小企業白書」概要 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。

前年版からの変化

前年版の令和3年版 中小企業白書と比べて、主に次の点が変わっています。

  • 2021年版の「危機を乗り越える力」から「新たな時代へ向けた自己変革力」へとテーマが移り、感染症下での事業継続に加え、事業再構築を通じたその後の成長に重心を置く構成となった。
  • 第1部で原油・原材料価格の高騰や部材調達難を節として取り上げ、2021年版で中心だった感染症の影響に加えて、供給面の制約とコスト上昇が中小企業をめぐる新たな問題意識として加わった。
  • 第2部で無形資産投資や取引適正化・価格転嫁を扱い、伴走支援を章題に掲げるなど、2021年版の財務・デジタル化・事業承継中心の構成から、成長投資と支援体制へと論点を広げた。

主なキーワード

自己変革事業再構築無形資産投資

中小企業白書とは

中小企業白書は、中小企業庁が中小企業の業況、経営課題、政府の支援施策を毎年国会に報告する法定白書です。第1部で景況・倒産・資金調達などの動向を概観し、第2部でその年のテーマ(価格転嫁と賃上げ、省力化投資、事業承継、スタートアップ、海外展開など)を企業アンケートと事例で分析します。2015年版以降は小規模事業者に焦点を当てた「小規模企業白書」も同時に刊行されています。

例年の構成
  • 第1部: 中小企業の動向(業況、倒産・休廃業、雇用、資金繰り、物価と価格転嫁)
  • 第2部: テーマ分析(投資、賃上げ、事業承継、経営力向上など)
  • 附属統計資料: 中小企業の企業数・従業者数・付加価値などの基礎統計
  • 講じようとする施策: 翌年度の中小企業施策の方針
中小企業白書の読み方・法的根拠・活用シーンを読む →

PDF資料(経済産業省公式サイト)

白書本文は経済産業省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。

PDF版を閲覧する(外部サイト) →

中小企業白書の他の年版

令和8年版 中小企業白書
公開: 2026.04

約30年ぶりの賃上げ水準が続く一方で原資の確保が課題となる中、労働供給制約社会で深刻化する人手不足を踏まえて中小企業の動向と労働生産性の向上に有効な取組を分析。価格転嫁やAI活用を通じ、戦略を持った経営で「稼ぐ力」を高め「強い中小企業」へ成長する道筋を示す。

令和7年版 中小企業白書
公開: 2025.04

円安・物価高と約30年ぶりの「金利のある世界」の到来を踏まえ、コストカットから設備投資・価格転嫁による付加価値向上への経営転換を提起。経営者の「経営力」を個人特性・戦略策定・組織人材の3つの観点で分析し、売上高規模ごとの「成長の壁」の打破策を示す。

令和6年版 中小企業白書
公開: 2024.05

能登半島地震の被災地域の状況やコロナ禍後の倒産・雇用の推移を含め、人手不足と原材料価格の上昇が続く令和5年度の動向を分析。第2部では人への投資、設備投資、M&A、研究開発投資による成長と、資金調達や支援機関の役割を示す。

令和5年版 中小企業白書
公開: 2023.04

業況が感染症流行前の水準に戻りつつある一方、物価高騰と深刻な人手不足が続く令和4年度の動向を分析。第2部「変革の好機を捉えて成長を遂げる中小企業」として、価値創出の戦略と経営者の役割、新たな担い手の創出、成長を支える共通基盤を示す。

令和3年版 中小企業白書
公開: 2021.04

感染症の流行で急激に悪化した業況と、資金繰り支援により倒産が低水準にとどまった令和2年度の動向を分析。第2部「危機を乗り越える力」として、財務基盤と経営戦略の見直し、デジタル化、事業承継・M&Aによる経営資源の活用を示す。

令和2年版 中小企業白書
公開: 2020.04

新型コロナウイルス感染症の影響を冒頭で取り上げつつ、令和元年度の中小企業の動向を労働生産性・新陳代謝・多様性の観点から分析。第2部では付加価値の創出と、適正な価格設定・取引関係の構築による付加価値の獲得に向けた取組を示す。

関連用語

デジタルテクノロジーDXテクノロジー

出典と引用について

本ページの概要・解説は白書ポータル編集部が経済産業省の公式ページと白書本文をもとに執筆したものです。 白書本文の著作権は経済産業省に帰属します。本文の数値・図表を引用する際は「令和4年版 中小企業白書」と該当ページを明記し、経済産業省の利用規約に従ってください。