令和6年版 中小企業白書
この年版の概要
能登半島地震の被災地域の状況やコロナ禍後の倒産・雇用の推移を含め、人手不足と原材料価格の上昇が続く令和5年度の動向を分析。第2部では人への投資、設備投資、M&A、研究開発投資による成長と、資金調達や支援機関の役割を示す。
令和6年版 中小企業白書は、経済産業省(中小企業庁 事業環境部 調査室)が2024年5月に公表した中小企業白書の令和6年版です。中小企業白書は中小企業基本法に基づき、中小企業の動向と講じた施策を毎年国会に報告するもので、例年毎年4月下旬(小規模企業白書と同時に公表)に公表されています。 翌年版は令和7年版 中小企業白書、前年版は令和5年版 中小企業白書です。
公表当時の背景
2024年1月に能登半島地震が発生し、被災地域の中小企業の事業再建が課題となった。コロナ禍の資金繰り支援からの正常化が進む中で倒産件数は増加しつつあり、原材料価格の上昇と人手不足も続いていた。賃上げの機運が高まり人材確保と生産性向上が急務となる中、白書は例年より遅い2024年5月10日に閣議決定され、被災地域の分析を第1部に盛り込み、第2部で省力化を含む成長投資と資金調達・支援体制を論じた。
この年版のポイント
正式名称・テーマ: 2024年版 中小企業白書 / 第1部 令和5年度の中小企業の動向/第2部 環境変化に対応する中小企業
- 第1部では令和6年能登半島地震の被災地域の状況を分析。被災地域は被災以前から生産年齢人口の割合が低く高齢化が進んでいたことを示した。
- 新型コロナ禍では政府の支援策により失業率・倒産件数は比較的低水準で推移。足下で倒産件数は増加しつつあるが、失業率は引き続き低水準にあると整理した。
- 2023年は中小企業の業況判断DIが高水準で推移する一方、原材料価格の上昇や人手不足が課題。就業者数の増加が見込めない中、省力化投資や単価引上げによる生産性向上が必要とした。
- 第2部では約9割の中小企業が投資に意欲的な経営方針を示すとし、人への投資、設備投資、M&A、研究開発投資が企業成長に有効であると分析した。
- 成長投資に伴う資金調達手段の検討の必要性と、支援機関が果たす役割の重要性を示し、支援体制の強化が必要だとした。
出典: 中小企業庁「2024年版 中小企業白書・小規模企業白書」概要 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。
前年版からの変化
前年版の令和5年版 中小企業白書と比べて、主に次の点が変わっています。
- 2023年版が価値創出の「戦略」と「経営者」に焦点を当てたのに対し、2024年版は人への投資、設備投資、M&A、研究開発投資といった投資行動と企業成長の関係に分析の軸を移した。
- 第1部の冒頭で令和6年能登半島地震の被災地域の状況を分析するとともに、新型コロナ禍の期間を政府の支援策の効果と倒産件数・失業率の推移から振り返り、感染症後の局面への移行を整理する構成となった。
- 人手不足で就業者数の増加が見込めないことを前提に、省力化投資や単価引上げによる生産性向上の必要性を示し、成長投資に伴う資金調達手段の検討と支援機関による支援体制の強化を論点に加えた。
主なキーワード
中小企業白書とは
中小企業白書は、中小企業庁が中小企業の業況、経営課題、政府の支援施策を毎年国会に報告する法定白書です。第1部で景況・倒産・資金調達などの動向を概観し、第2部でその年のテーマ(価格転嫁と賃上げ、省力化投資、事業承継、スタートアップ、海外展開など)を企業アンケートと事例で分析します。2015年版以降は小規模事業者に焦点を当てた「小規模企業白書」も同時に刊行されています。
- 第1部: 中小企業の動向(業況、倒産・休廃業、雇用、資金繰り、物価と価格転嫁)
- 第2部: テーマ分析(投資、賃上げ、事業承継、経営力向上など)
- 附属統計資料: 中小企業の企業数・従業者数・付加価値などの基礎統計
- 講じようとする施策: 翌年度の中小企業施策の方針
PDF資料(経済産業省公式サイト)
白書本文は経済産業省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。
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約30年ぶりの賃上げ水準が続く一方で原資の確保が課題となる中、労働供給制約社会で深刻化する人手不足を踏まえて中小企業の動向と労働生産性の向上に有効な取組を分析。価格転嫁やAI活用を通じ、戦略を持った経営で「稼ぐ力」を高め「強い中小企業」へ成長する道筋を示す。
円安・物価高と約30年ぶりの「金利のある世界」の到来を踏まえ、コストカットから設備投資・価格転嫁による付加価値向上への経営転換を提起。経営者の「経営力」を個人特性・戦略策定・組織人材の3つの観点で分析し、売上高規模ごとの「成長の壁」の打破策を示す。
業況が感染症流行前の水準に戻りつつある一方、物価高騰と深刻な人手不足が続く令和4年度の動向を分析。第2部「変革の好機を捉えて成長を遂げる中小企業」として、価値創出の戦略と経営者の役割、新たな担い手の創出、成長を支える共通基盤を示す。
感染症の長期化に原油・原材料価格の高騰や部材調達難、人材不足が重なる令和3年度の動向を分析。第2部「新たな時代へ向けた自己変革力」として、事業再構築、ブランド構築や人的投資などの無形資産投資、取引適正化と伴走支援を示す。
感染症の流行で急激に悪化した業況と、資金繰り支援により倒産が低水準にとどまった令和2年度の動向を分析。第2部「危機を乗り越える力」として、財務基盤と経営戦略の見直し、デジタル化、事業承継・M&Aによる経営資源の活用を示す。
新型コロナウイルス感染症の影響を冒頭で取り上げつつ、令和元年度の中小企業の動向を労働生産性・新陳代謝・多様性の観点から分析。第2部では付加価値の創出と、適正な価格設定・取引関係の構築による付加価値の獲得に向けた取組を示す。
令和6年版のキーワード分析
令和6年版 中小企業白書は当サイトのテキストマイニング分析の対象です(対象: 経済財政・情報通信・中小企業の 3 白書)。令和6年版の対象白書から抽出した頻出語のランキングと、省庁ごとの上位語を分析ページに掲載しています。
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出典と引用について
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