令和3年版 食料・農業・農村白書
この年版の概要
新型コロナウイルス感染症による食料消費、農業の生産・販売への影響と対応に加え、地方への関心や働き方、交流の新たな動きを特集で分析。トピックスでは農林水産物・食品の輸出の新たな戦略、みどりの食料システム戦略、植物新品種の海外流出対策など7テーマを整理。
令和3年版 食料・農業・農村白書は、農林水産省(農林水産省 大臣官房 広報評価課)が2021年5月に公表した食料・農業・農村白書の令和3年版です。食料・農業・農村白書は食料・農業・農村基本法に基づき、食料・農業・農村の動向と講じた施策を毎年国会に報告するもので、例年毎年5月下旬〜6月(閣議決定後に公表)に公表されています。 翌年版は令和4年版 食料・農業・農村白書、前年版は令和2年版 食料・農業・農村白書です。
公表当時の背景
2021年5月の公表時は、新型コロナウイルス感染症の流行が1年以上続き、緊急事態宣言の発出などで外食需要の落ち込みや農産物の販路の変化が続いていた。一方で、地方での暮らしや働き方への関心も高まっていた。同月には環境負荷の低減と生産性向上の両立を目指すみどりの食料システム戦略が策定されており、白書はコロナ禍の影響と対応を特集とし、輸出の新たな戦略やみどり戦略をトピックスに加えている。
この年版のポイント
正式名称・テーマ: 令和2年度 食料・農業・農村白書 / 特集 新型コロナウイルス感染症による影響と対応
- 特集「新型コロナウイルス感染症による影響と対応」は43ページにわたり、感染拡大が食料消費や農業の生産・販売に与えた影響と、その対応を整理している。外出自粛要請を受けた消費者の買いだめでパスタや冷凍食品の欠品が一時発生した事例を紹介し、感染症も食料供給のリスクになると指摘している。
- 食料消費の面では、外出自粛に伴い家庭内での消費が増え、外食への支出額が大きく減少する一方で生鮮食品への支出額が増加したと分析している。コロナ禍で生じた食料消費の変化を家計の支出の動きから捉え、外食向けを中心とした生産・販売の現場への影響と合わせて整理している。
- 特集の後半では、感染拡大を契機とした地方への関心の高まりや働き方の変化、農山漁村との交流の新たな動きを取り上げている。農林水産省は公表時に、こうした特集の内容を「新型コロナにより食料の消費・生産や地方との交流に新たな動き」として発信している。
- トピックスは7つのテーマで構成し、その一つとして農林水産物・食品の輸出の新たな戦略を取り上げている。輸出拡大に向けて政府が新たに打ち出した戦略の考え方と、今後の取組の方向性を整理し、輸出に関する施策と産地や事業者の動きを結び付けて紹介している。
- トピックスではこのほか、公表直前に策定されたみどりの食料システム戦略や、優良な植物新品種の海外流出を防ぐための対策などを取り上げている。環境負荷の低減や育成者権など知的財産の保護といった、新たな基本計画の下で動き出した施策をそれぞれ個別に紹介している。
出典: 農林水産省「令和2年度 食料・農業・農村白書(令和3年5月25日公表)」公式ページ をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。
前年版からの変化
前年版の令和2年版 食料・農業・農村白書と比べて、主に次の点が変わっています。
- 前年版が新たな基本計画と女性農業者の2本の特集を組んだのに対し、新型コロナウイルス感染症による影響と対応を単独の特集とし、前年版では一項目だった感染症への対応を白書の中心テーマに据えている。
- トピックスを前年版の2テーマから7テーマに広げ、輸出の新たな戦略やみどりの食料システム戦略、植物新品種の海外流出対策など、新基本計画の下で動き出した施策を個別に取り上げている。
- 地方への関心の高まりや働き方の変化、農山漁村との交流の新たな動きなど、感染拡大を契機とした都市と農村の関わり方の変化を、食料消費や生産への影響と並ぶ特集の柱の一つとして扱っている。
主なキーワード
食料・農業・農村白書とは
食料・農業・農村白書は、農林水産省が食料自給率、農業経営、農村地域の動向と政府の施策を毎年国会に報告する法定白書です。「食料」「農業」「農村」の三つの柱に沿って統計と施策をまとめ、冒頭の特集でその年の重点テーマ(食料安全保障、物価高騰と農業経営、スマート農業、みどりの食料システム戦略など)を掘り下げます。
- 特集・トピックス: その年の重点テーマと注目の動き
- 第1章 食料: 食料自給率、食料安全保障、食品産業、食生活
- 第2章 農業: 農業経営、担い手、農地、生産基盤、スマート農業、輸出
- 第3章 農村: 地域資源、関係人口、鳥獣被害、都市農業
- 第4章 災害からの復旧・復興・防災
- 講じようとする施策: 翌年度の施策方針
PDF資料(農林水産省公式サイト)
白書本文は農林水産省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。
PDF版を閲覧する(外部サイト) →食料・農業・農村白書の他の年版
2024年夏以降の米価格高騰の要因と政府備蓄米放出などの対応を検証する特集。食料自給率は供給熱量ベース38%・生産額ベース64%、農業総産出額10.8兆円、輸出額1兆7,005億円、基幹的農業従事者103万6千人などの動向を整理。
改正基本法を具体化する新たな食料・農業・農村基本計画の策定、合理的な価格形成、スマート農業技術の活用を特集。食料自給率38%、農業総産出額9.5兆円、輸出額1.5兆円超、基幹的農業従事者111万人などの動向と新基本計画の目標を整理。
制定から四半世紀を経た食料・農業・農村基本法の検証・見直しを特集し、答申から改正法案の国会提出までの経緯と今後20年を見据えた課題を検証。食料自給率は供給熱量ベース38%・生産額ベース58%、輸出額1兆4,541億円、基幹的農業従事者116万4千人などの動向を整理。
世界的な食料情勢の変化による食料安全保障上のリスクの高まりを受け、飼料・肥料等の資材価格や食料品価格の上昇の影響と対応を特集「食料安全保障の強化に向けて」で整理。2022年の農林水産物・食品の輸出額が1兆4,148億円と過去最高を更新したことなどをトピックスで紹介。
2020年農林業センサスの公表等を踏まえ、我が国の農業構造の中長期的な変化を品目別・地域別に分析する特集「変化(シフト)する我が国の農業構造」を掲載。新型コロナの影響の継続、みどりの食料システム戦略に基づく取組の本格始動、農林水産物・食品の輸出額1兆円突破などをトピックスで整理。
2020年3月に策定された新たな食料・農業・農村基本計画のポイントと目標を特集1で、白書で初めて取り上げた女性農業者の現状と今後の方向性を特集2で整理。トピックスではSDGsに向けた農業・食品産業の取組と日米貿易協定の合意内容・対策を取り上げ、新型コロナウイルスへの対応も記述。
出典と引用について
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