令和6年版 食料・農業・農村白書
この年版の概要
制定から四半世紀を経た食料・農業・農村基本法の検証・見直しを特集し、答申から改正法案の国会提出までの経緯と今後20年を見据えた課題を検証。食料自給率は供給熱量ベース38%・生産額ベース58%、輸出額1兆4,541億円、基幹的農業従事者116万4千人などの動向を整理。
令和6年版 食料・農業・農村白書は、農林水産省(農林水産省 大臣官房 広報評価課)が2024年5月に公表した食料・農業・農村白書の令和6年版です。食料・農業・農村白書は食料・農業・農村基本法に基づき、食料・農業・農村の動向と講じた施策を毎年国会に報告するもので、例年毎年5月下旬〜6月(閣議決定後に公表)に公表されています。 翌年版は令和7年版 食料・農業・農村白書、前年版は令和5年版 食料・農業・農村白書です。
公表当時の背景
2024年5月の公表時は、食料・農業・農村基本法の改正法案が第213回通常国会で審議され、2024年に成立した時期に当たる。ウクライナ侵略以降の資材価格の高止まりや円安、気候変動による生産の不安定化で食料安全保障への懸念が続き、トラック運転手の時間外労働規制の適用に伴う「物流の2024年問題」への対応も課題となっていた。白書は基本法の検証・見直しを特集とし、同年1月の能登半島地震への対応もトピックスに盛り込んでいる。
この年版のポイント
正式名称・テーマ: 令和5年度 食料・農業・農村白書 / 特集 食料・農業・農村基本法の検証・見直し
- 1999年制定の食料・農業・農村基本法について、制定から四半世紀を経て顕在化した食料安全保障リスク等を踏まえた検証・見直しを特集。2022年9月の諮問から基本法検証部会の議論を経て2023年9月に答申がまとめられ、改正法案が第213回通常国会に提出された経緯を整理している。
- 今後20年を見据えた課題として、世界人口増加と気候変動による食料生産の不安定化、約30年のデフレ下で生産コストが価格に反映されにくい価格形成の問題、人口減少・高齢化による国内市場の縮小を挙げている。
- 2022年度の総合食料自給率は供給熱量ベースで前年度と同じ38%、生産額ベースは5ポイント低下の58%。2022年の農業総産出額は前年比1.8%増の9兆円、生産農業所得は資材価格上昇で7.3%減の3兆1千億円となった。
- 基幹的農業従事者は2023年に116万4千人と約20年で半減し、平均年齢は68.7歳に上昇。2023年の農林水産物・食品の輸出額は前年比2.8%増の1兆4,541億円で過去最高を更新した。
- トピックスとして、食料安全保障強化に向けた構造転換対策と地域計画の策定、「物流の2024年問題」への対応、カーボン・クレジット、スマート農業、農福連携、令和6年能登半島地震への対応の7項目を取り上げている。
出典: 農林水産省「令和5年度 食料・農業・農村白書」概要 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。
前年版からの変化
前年版の令和5年版 食料・農業・農村白書と比べて、主に次の点が変わっています。
- 前年版が資材・食料品価格の高騰の影響と対応を中心に食料安全保障の強化を特集したのに対し、食料安全保障の確保を含む政策の土台である食料・農業・農村基本法そのものの検証・見直しを特集に据えている。
- 特集では今後20年を見据えた課題として、食料生産の不安定化、生産コストが価格に反映されにくい価格形成の問題、国内市場の縮小を挙げ、足元の対応から中長期の制度のあり方へと問題意識を広げている。
- トピックスは7項目で、構造転換対策と地域計画の策定、物流の2024年問題、カーボン・クレジット、農福連携、令和6年能登半島地震への対応など、公表年度に生じた論点を加えている。
主なキーワード
食料・農業・農村白書とは
食料・農業・農村白書は、農林水産省が食料自給率、農業経営、農村地域の動向と政府の施策を毎年国会に報告する法定白書です。「食料」「農業」「農村」の三つの柱に沿って統計と施策をまとめ、冒頭の特集でその年の重点テーマ(食料安全保障、物価高騰と農業経営、スマート農業、みどりの食料システム戦略など)を掘り下げます。
- 特集・トピックス: その年の重点テーマと注目の動き
- 第1章 食料: 食料自給率、食料安全保障、食品産業、食生活
- 第2章 農業: 農業経営、担い手、農地、生産基盤、スマート農業、輸出
- 第3章 農村: 地域資源、関係人口、鳥獣被害、都市農業
- 第4章 災害からの復旧・復興・防災
- 講じようとする施策: 翌年度の施策方針
PDF資料(農林水産省公式サイト)
白書本文は農林水産省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。
PDF版を閲覧する(外部サイト) →食料・農業・農村白書の他の年版
2024年夏以降の米価格高騰の要因と政府備蓄米放出などの対応を検証する特集。食料自給率は供給熱量ベース38%・生産額ベース64%、農業総産出額10.8兆円、輸出額1兆7,005億円、基幹的農業従事者103万6千人などの動向を整理。
改正基本法を具体化する新たな食料・農業・農村基本計画の策定、合理的な価格形成、スマート農業技術の活用を特集。食料自給率38%、農業総産出額9.5兆円、輸出額1.5兆円超、基幹的農業従事者111万人などの動向と新基本計画の目標を整理。
世界的な食料情勢の変化による食料安全保障上のリスクの高まりを受け、飼料・肥料等の資材価格や食料品価格の上昇の影響と対応を特集「食料安全保障の強化に向けて」で整理。2022年の農林水産物・食品の輸出額が1兆4,148億円と過去最高を更新したことなどをトピックスで紹介。
2020年農林業センサスの公表等を踏まえ、我が国の農業構造の中長期的な変化を品目別・地域別に分析する特集「変化(シフト)する我が国の農業構造」を掲載。新型コロナの影響の継続、みどりの食料システム戦略に基づく取組の本格始動、農林水産物・食品の輸出額1兆円突破などをトピックスで整理。
新型コロナウイルス感染症による食料消費、農業の生産・販売への影響と対応に加え、地方への関心や働き方、交流の新たな動きを特集で分析。トピックスでは農林水産物・食品の輸出の新たな戦略、みどりの食料システム戦略、植物新品種の海外流出対策など7テーマを整理。
2020年3月に策定された新たな食料・農業・農村基本計画のポイントと目標を特集1で、白書で初めて取り上げた女性農業者の現状と今後の方向性を特集2で整理。トピックスではSDGsに向けた農業・食品産業の取組と日米貿易協定の合意内容・対策を取り上げ、新型コロナウイルスへの対応も記述。
関連用語
出典と引用について
本ページの概要・解説は白書ポータル編集部が農林水産省の公式ページと白書本文をもとに執筆したものです。 白書本文の著作権は農林水産省に帰属します。本文の数値・図表を引用する際は「令和6年版 食料・農業・農村白書」と該当ページを明記し、農林水産省の利用規約に従ってください。