令和4年版 防衛白書
この年版の概要
ロシアによるウクライナ侵略を扱う章を新設し、国際社会は戦後最大の試練の時を迎えているとの認識を記述。台湾情勢の記述を前年版から大幅に拡充し、宇宙・サイバー・電磁波の新領域、防衛関係費5兆4,005億円、緊急発進1,004回などを整理。
令和4年版 防衛白書は、防衛省(防衛省 大臣官房)が2022年7月に公表した防衛白書の令和4年版です。防衛白書は法定白書ではなく、閣議に報告したうえで刊行する年次報告で、例年毎年7月に公表されています。 翌年版は令和5年版 防衛白書、前年版は令和3年版 防衛白書です。
公表当時の背景
2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵略を開始し、欧州で国家間の大規模な戦争が現実のものとなった。北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返し、政府は年末に向けて国家安全保障戦略などの改定作業を進めていた。7月には安倍晋三元首相が銃撃され死去し、白書はその直後の7月22日の閣議に報告された。白書はウクライナ侵略を独立した章で扱い、力による一方的な現状変更は許容できないとの立場を明確にしている。
この年版のポイント
- 第I部に第2章「ロシアによるウクライナ侵略」を新設し、2022年2月に始まった侵略を独立した章で取り上げている。巻頭の防衛大臣の言葉では、侵略を国際秩序の根幹を揺るがす力による一方的な現状変更と位置づけて容認できないとし、国際社会は今、戦後最大の試練の時を迎えていると記述している。
- 台湾情勢に関する記述を前年版のおよそ2倍に拡充し、前年版で初めて示した台湾をめぐる情勢の安定の重要性という認識を引き継いでいる。ロシアによるウクライナ侵略を力による一方的な現状変更と位置づける記述とあわせ、台湾周辺を含むわが国周辺の情勢に紙幅を割いている。
- 冒頭に「FOCUS」と「ダイジェスト」を置き、本編は第1章「概観」、第2章「ロシアによるウクライナ侵略」、第3章「諸外国の防衛政策など」、第4章「宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域をめぐる動向」の順で安全保障環境を記述している。対象期間は2021年4月から2022年3月までの1年間である。
- 巻頭の防衛大臣の言葉では、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が続いていることを取り上げ、地域の安全保障上の課題と位置づけている。そのうえで、日米同盟の強化とともに、日米豪、日米豪印といった枠組みによる同志国との協力の深化に触れ、多国間での連携を重視する姿勢を示している。
- 令和4年度の防衛関係費は、デジタル庁計上分を含めて5兆4,005億円。2021年度の緊急発進は1,004回で、このうち中国機に対するものが722回を占めた。冊子版は2022年8月22日発行、総頁数560頁で、9月には英語版「Defense of Japan 2022」も刊行されている。
出典: 防衛省「令和4年版 防衛白書」紹介ページ をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。
前年版からの変化
前年版の令和3年版 防衛白書と比べて、主に次の点が変わっています。
- 令和3年版が米中関係の節を新設したのに対し、令和4年版はロシアによるウクライナ侵略を扱う章を新設し、欧州で起きた国家間の侵略を安全保障環境の分析の中心に据えた。
- 台湾情勢に関する記述を前年版のおよそ2倍に拡充している。前年版で初めて示した台湾をめぐる情勢の安定の重要性という認識を引き継ぎつつ、中国の軍事動向とあわせて台湾周辺の情勢を詳しく記述している。
主なキーワード
防衛白書とは
防衛白書は、防衛省が日本を取り巻く安全保障環境と防衛政策を国民に説明するために毎年刊行する報告書です。周辺国の軍事動向の分析、国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画(いわゆる安保三文書)に基づく政策、自衛隊の活動実績、防衛関係費、防衛産業や人的基盤の課題までを網羅します。
- 第I部: わが国を取り巻く安全保障環境(各国・地域の軍事動向、宇宙・サイバー・電磁波などの新領域)
- 第II部: わが国の安全保障・防衛政策(安保三文書、防衛力整備の考え方、防衛関係費)
- 第III部: 防衛目標を実現するための取組(自衛隊の活動、日米同盟、防衛協力・交流)
- 第IV部: 共通基盤の強化(人的基盤、防衛生産・技術基盤、地域社会との関わり)
- 資料編: 条約・法令・部隊配置・装備品の一覧
PDF資料(防衛省公式サイト)
白書本文は防衛省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。
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テーマ「未来につながる安全保障」のもと、防衛装備移転三原則の改正と三文書の前倒し改定の年にあたり、「新しい戦い方をめぐる動向」の章と防衛生産・技術基盤の部を新設。防衛関係費8.8兆円、緊急発進595回、自衛官の充足率約9割などを記述。
2025年3月に設置した統合作戦司令部と、自衛官の処遇・勤務環境の改善を巻頭で特集。防衛関係費8.4兆円、中国軍機による領空侵犯、緊急発進704回、第2期トランプ政権の成立など、安全保障環境の変化と防衛力強化の進捗を記述。
自衛隊発足70年と白書刊行50回目の節目に、自衛隊70年の歩みを振り返る特集を巻頭に設置。三文書策定から1年間の防衛力の抜本的強化の進捗、防衛関係費7.7兆円、中国の核戦力の増強、緊急発進669回、防衛装備移転三原則の改正などを記述。
2022年12月の国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画の策定後初の白書として、三文書の策定経緯と概要を記述。2027年度までの防衛力の抜本的強化と7つの柱、5年間約43兆円の整備計画、「元年」予算とする防衛関係費6兆8,219億円を整理。
「米国と中国の関係など」の節を新設し、米中間の軍事的なパワーバランスの変化と、台湾情勢の安定がわが国の安全保障にとって重要であることを初めて記述。中国海警の活動、コロナ禍の防衛省・自衛隊、防衛関係費5兆3,422億円、緊急発進725回などを整理。
刊行50周年を記念し、1970年の創刊以来の白書の変遷を振り返る特集「防衛白書50年の歩み」を掲載。新型コロナウイルス感染症が各国の軍事活動に及ぼす影響と自衛隊の対応、宇宙作戦隊の新編をはじめとする新領域の取組、防衛関係費5兆3,133億円などを記述。
出典と引用について
本ページの概要・解説は白書ポータル編集部が防衛省の公式ページと白書本文をもとに執筆したものです。 白書本文の著作権は防衛省に帰属します。本文の数値・図表を引用する際は「令和4年版 防衛白書」と該当ページを明記し、防衛省の利用規約に従ってください。