令和3年版 犯罪白書

法務省令和3年版公開: 2021年12月ページ最終更新 執筆: 白書ポータル編集部

この年版の概要

令和2年の刑法犯認知件数が前年比17.9%減の61万4,231件と18年連続で減少し、戦後最少を更新した動向を整理。詐欺事犯者の実態と処遇を特集し、検挙人員の約7割を30歳未満が占める特殊詐欺の動向や処遇、再犯の状況を分析し、京都コングレスの成果も紹介。

令和3年版 犯罪白書は、法務省(法務省 法務総合研究所)が2021年12月に公表した犯罪白書の令和3年版です。犯罪白書は法定白書ではなく、法務総合研究所が刊行する年次報告で、例年毎年11月〜12月に公表されています。 翌年版は令和4年版 犯罪白書、前年版は令和2年版 犯罪白書です。

公表当時の背景

令和3年12月の公表時は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が2年目に入り、感染拡大の影響が及んだ令和2年の統計が初めて収録された。同年3月には感染拡大で延期されていた京都コングレスが開催され、白書でもその成果を紹介した。特殊詐欺は検挙件数が過去最多となり、実質的な被害額も約285億円と高い水準にあり、若年者が犯行に加担する構図が問題となる中で、詐欺事犯者の実態と処遇が特集された。

この年版のポイント

正式名称・テーマ: 令和3年版 犯罪白書 / 特集 詐欺事犯者の実態と処遇

  1. 令和2年の刑法犯認知件数は61万4,231件(前年比17.9%減)で、平成14年の戦後最多から18年連続で減少し、戦後最少を更新した。減少の主因は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の大幅な減少であり、窃盗を除く刑法犯は19万6,940件だったと整理している。
  2. 令和2年の刑法犯検挙人員は戦後最少の約18万2,600人で、そのうち65歳以上が22.8%を占めた。また平成28年に刑事施設を出所した者の4割近くが5年以内に再入所しており、認知件数が減少する中でも、検挙人員の高齢化と出所者の再犯という二つの課題が引き続き存在することを示している。
  3. 特集では詐欺事犯全般を扱い、詐欺の認知件数が平成17年の約8万5,600件をピークに減少し、24年から増加、30年から再び減少して、令和2年は約3万500件となったこと、うち特殊詐欺が約1万3,600件であることを、関連法令の整備状況とあわせて整理している。
  4. 令和2年の特殊詐欺の検挙件数は7,424件と統計開始以降最多で、検挙人員の約7割を30歳未満の若年者層、約15%を暴力団構成員等が占めた。被害者の73.6%は女性で、オレオレ詐欺では被害者の85.7%が65歳以上で、実質的な被害額は約285億円だったとしている。
  5. 対策として、犯行ツールとなり得る携帯電話や預貯金口座の不正利用防止、金融機関等との連携、「だまされた振り作戦」など国民から寄せられた情報の活用、地方公共団体による条例の制定などの取組を紹介し、令和3年3月の京都コングレスの意義と成果も取り上げている。

出典: 法務省「令和3年版 犯罪白書のあらまし」 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。

前年版からの変化

前年版の令和2年版 犯罪白書と比べて、主に次の点が変わっています。

  • 特集テーマは前年版の薬物犯罪から詐欺事犯者の実態と処遇に移り、特殊詐欺における若年者や暴力団構成員等の関与、高齢の被害者の多さなど、加害者・被害者双方の特徴に焦点を当てた。
  • 令和2年の認知件数は前年比17.9%減と大きく落ち込んで戦後最少を更新し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まった年の統計が初めて収録された点で、前年版と前提が大きく異なる。
  • 前年版に無かった要素として、令和3年3月に京都で開催された第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)について、その歴史や意義、会議の概要と成果を新たに紹介した。

主なキーワード

特殊詐欺詐欺事犯者京都コングレス

犯罪白書とは

犯罪白書は、法務省法務総合研究所が刑法犯の認知件数、検挙、起訴、裁判、矯正、更生保護までの刑事司法の全過程を統計で示す年次報告です。前半で犯罪の動向と処遇の現状を毎年同じ構成で更新し、後半の特集で特定のテーマ(高齢者犯罪、再犯防止、性犯罪、薬物、少年非行の長期動向など)を深く分析します。

例年の構成
  • 第1編: 犯罪の動向(刑法犯・特別法犯の認知・検挙状況)
  • 第2編: 犯罪者の処遇(検察、裁判、矯正、更生保護)
  • 第3編: 少年非行の動向と非行少年の処遇
  • 第4編: 各種犯罪の動向と対策(交通、薬物、組織犯罪、外国人、高齢者など)
  • 第5編以降: 再犯・再非行の状況と特集テーマ
  • 資料統計: 長期時系列の統計表
犯罪白書の読み方・法的根拠・活用シーンを読む →

PDF資料(法務省公式サイト)

白書本文は法務省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。

PDF版を閲覧する(外部サイト) →

犯罪白書の他の年版

令和7年版 犯罪白書
公開: 2025.12

刑法犯認知件数が3年連続で増加し73.8万件に。少年の検挙人員の増加、18年ぶりに増えた入所受刑者と拘禁刑の運用開始を整理し、犯罪被害実態(暗数)調査と精神障害を有する者の性犯罪被害を特集。

令和6年版 犯罪白書
公開: 2024.12

令和5年の刑法犯認知件数が70万3,351件と2年連続で増加し、少年の検挙人員や大麻取締法違反の若年層の増加が目立つ動向を整理。女性犯罪者の実態と処遇を特集し、女性受刑者への特別調査から精神疾患や被害経験、高齢女性による万引きの背景を分析。

令和5年版 犯罪白書
公開: 2023.11

令和4年の刑法犯認知件数が60万1,331件と20年ぶりに増加に転じ、少年の刑法犯検挙人員も19年ぶりに増えた動向を整理。非行少年と生育環境を特集し、少年法制の変遷や少年院在院者等への特別調査から、逆境体験や被虐待経験の実態を分析。

令和4年版 犯罪白書
公開: 2022.12

令和3年の刑法犯認知件数が56万8,104件と19年連続で減少して戦後最少を更新する一方、再犯者率が48.6%と高止まりしている動向を整理。新型コロナウイルス感染症と刑事政策、犯罪者・非行少年の生活意識と価値観の2テーマを特集。

令和2年版 犯罪白書
公開: 2020.11

令和元年の刑法犯認知件数が約74万8,500件と17年連続で減少して戦後最少を更新する一方、検挙人員に占める65歳以上の割合が22.0%に達した動向を整理。薬物犯罪を特集し、覚醒剤事犯をはじめとする薬物犯罪の動向、薬物事犯者の処遇の現状と再犯の状況を分析。

出典と引用について

本ページの概要・解説は白書ポータル編集部が法務省の公式ページと白書本文をもとに執筆したものです。 白書本文の著作権は法務省に帰属します。本文の数値・図表を引用する際は「令和3年版 犯罪白書」と該当ページを明記し、法務省の利用規約に従ってください。