令和5年版 情報通信白書
この年版の概要
通信インフラの高度化とデータ流通の進展を踏まえ、メタバースや生成AIなどデータを活用した新たなサービスの動向と、企業・消費者のデータ活用に関する意識を分析。SNS上の誹謗中傷や偽・誤情報など、強靱で健全なデータ流通社会の実現に向けた課題を整理。
令和5年版 情報通信白書は、総務省(総務省 情報流通行政局 情報通信政策課 情報通信経済室)が2023年7月に公表した情報通信白書の令和5年版です。情報通信白書は法定白書ではなく、総務省が刊行する年次報告で、例年毎年7月に公表されています。 翌年版は令和6年版 情報通信白書、前年版は令和4年版 情報通信白書です。
公表当時の背景
2023年は前年末に公開された対話型生成AIが世界的に急速に普及し、その活用とリスクへの関心が一気に高まった年である。5月のG7広島サミットでは生成AIをめぐる国際的なルール作りとして広島AIプロセスが立ち上げられ、同月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行した。白書は7月4日に公表され、生成AIを含む新たなデータ活用サービスと、偽・誤情報など健全なデータ流通の課題を特集で扱っている。
この年版のポイント
正式名称・テーマ: 令和5年 情報通信に関する現状報告 / 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
- 第1部の特集は、インターネット普及初期の片方向の情報流通(Web1.0)からSNSなどによる双方向のやり取り(Web2.0)への変化や、1979年の第1世代から2020年の第5世代まで約10年周期で世代交代してきた移動通信ネットワークの高度化を振り返り、データ流通の進展を整理している。
- メタバース、デジタルツイン、生成AIなどデータを活用した新たなサービスの動向を整理。生成AIは情報を生成・創造する技術として急速に発展しているとし、世界市場が2030年までに約14兆円、2022〜2030年の年平均成長率35.6%で拡大するとの民間予測を紹介している。
- 第2章ではデータの流通・活用の現状として、データ流通量の急増、企業と消費者の意識、各国のデータ利活用戦略を取り上げている。パーソナルデータを「活用できている」とする日本企業は52.8%で、2019年度調査より増えたものの諸外国の企業より低いと分析している。
- 日本企業はデータ利活用の方法や費用対効果が不明確な点、データを扱う人材の不足を課題に挙げる割合が高い。サービス利用のためにパーソナルデータを提供するとした日本の消費者は58.7%で諸外国を下回り、各国とも意図しない情報流出や望まない利用への懸念が最も多い。
- 健全なデータ流通の課題として、誹謗中傷や偽情報・誤情報がSNSで広がる問題を挙げ、生成AIで作られた偽の画像・動画が流通すると拡散が加速するおそれを指摘。「政策フォーカス」では「2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方」の最終答申の概要を取り上げている。
出典: 総務省「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。
前年版からの変化
前年版の令和4年版 情報通信白書と比べて、主に次の点が変わっています。
- 令和4年版が刊行50年の節目としてICTとデジタル経済の半世紀を振り返ったのに対し、令和5年版はデータ流通に焦点を絞り、強靱で健全なデータ流通社会の実現を特集テーマに掲げた。
- メタバース、デジタルツイン、生成AIといったデータを活用する新たなサービスが特集の論点に加わり、生成AIについては世界市場の予測やテキスト・画像・動画など活用分野の見通しが整理された。
- SNS上の誹謗中傷や偽・誤情報、生成AIによる偽画像・動画の拡散など、データ流通の健全性を問う問題意識が前面に出たほか、企業・消費者のデータ活用意識を海外と比較する分析が置かれた。
主なキーワード
情報通信白書とは
情報通信白書は、総務省が ICT(情報通信技術)分野の動向を毎年まとめる報告書です。通信・放送・インターネット・デジタルサービスの利用実態や産業規模を、総務省の通信利用動向調査や独自のアンケート・国際比較調査をもとに整理しています。前半は年ごとの特集テーマ(近年は AI・データ流通・デジタル化と地域など)、後半は毎年同じ構成で統計を更新する「現状と課題」編という二部構成が定着しています。
- 第1部: 特集(その年のテーマを掘り下げる分析編)
- 第2部: 情報通信分野の現状と課題(ICT 市場、通信・放送・郵便、利用動向、政策の動き)
- 巻末資料: 用語解説、図表一覧
PDF資料(総務省公式サイト)
白書本文は総務省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。
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関連用語
出典と引用について
本ページの概要・解説は白書ポータル編集部が総務省の公式ページと白書本文をもとに執筆したものです。 白書本文の著作権は総務省に帰属します。本文の数値・図表を引用する際は「令和5年版 情報通信白書」と該当ページを明記し、総務省の利用規約に従ってください。