令和2年版 厚生労働白書
この年版の概要
平成の30年間を振り返り、高齢化がピークを迎える2040年頃を見据えて、令和時代の社会保障と働き方の在り方を特集。人生100年時代、担い手不足・人口減少、新たなつながり・支え合い、生活を支える社会保障制度の維持・発展という4つの方向性と、新型コロナウイルス感染症の影響を整理。
令和2年版 厚生労働白書は、厚生労働省(厚生労働省 政策統括官(総合政策担当))が2020年10月に公表した厚生労働白書の令和2年版です。厚生労働白書は法定白書ではなく、厚生労働省が刊行する年次報告で、例年毎年夏〜秋(7月〜9月ごろ)に公表されています。 翌年版は令和3年版 厚生労働白書です。
公表当時の背景
2019年5月の改元で令和の時代が始まり、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大で国民生活と働き方が大きく揺らいだ年だった。白書の「はじめに」も、2040年頃に向けた人口減少と担い手不足に加え、感染症の拡大が社会保障や働き方の見直しを迫っていると述べている。本書は平成30年度・令和元年度の2年度分の年次報告として2020年10月に公表され、平成を総括しつつ令和の社会保障の方向性を示す内容となった。
この年版のポイント
正式名称・テーマ: 令和2年版 厚生労働白書(平成30年度・令和元年度厚生労働行政年次報告) / 令和時代の社会保障と働き方を考える
- 第1部第1章では、平成の30年間と2040年にかけての社会の変容を、高齢化の伸びの鈍化と人口減少、寿命と健康、労働力と働き方、技術、地域社会、世帯・家族、つながり、暮らし向きの意識、社会保障制度をめぐる動向という9つの観点から振り返り、今後を見通している。
- 平均寿命は平成の30年間で約5年伸び、2040年にかけてさらに約2年伸びる見通しとしている。2040年に65歳になる人のうち男性の4割が90歳まで、女性の2割が100歳まで生きると推計し、人生100年時代を前提とした社会保障と働き方への対応の必要性を示している。
- 就業者数は2019年に約6,700万人で、2040年には経済成長と労働参加が進めば6,000万人台を維持できる可能性がある一方、現在の性・年齢構成のままでは減少が懸念されると分析している。担い手不足・人口減少の克服を課題に挙げ、中途採用の促進なども論点としている。
- 世帯・家族や地域社会、人々のつながりの変化により、介護や看病で頼れる人がいない高齢者世帯が増えていることを示し、地域で人と人とが支え合う新たなつながり・支え合いの構築と、生活を支える社会保障制度の維持・発展を今後の対応の方向性として整理している。
- 第2章では令和時代の社会保障と働き方のあり方として、人生100年時代、担い手不足・人口減少、新たなつながり・支え合い、社会保障制度の維持・発展の4つの方向性に加え、デジタル・トランスフォーメーションへの対応を示し、新型コロナウイルス感染症の影響も取り上げている。
出典: 厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」概要版 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。
前年版からの変化
- 令和元年版は刊行されず、本書が平成30年度と令和元年度の2年度分の厚生労働行政年次報告をまとめて収録している。第1部も単年の課題ではなく、平成の30年間を振り返る長期的な視点を採った。
- 分析の時間軸を高齢化がピークを迎える2040年頃まで延ばし、担い手不足や人口減少を見据えた社会保障と働き方の全体像を、人生100年時代など4つの方向性として提示する構成とした。
- 公表前に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の影響を第2章で取り上げ、人口減少や担い手不足と並んで、社会保障や働き方の見直しを迫る要因として「はじめに」でも位置づけている。
主なキーワード
厚生労働白書とは
厚生労働白書は、社会保障・医療・介護・年金・雇用・労働・子育て支援など、厚生労働省が所管する幅広い分野の現状と施策をまとめた年次報告です。第1部でその年のテーマ(例: こころの健康、つながり・支え合い、人口減少下の社会保障)を分析し、第2部で各分野の政策課題と対応を網羅的に記述する二部構成が定着しています。
- 第1部: テーマ分析(その年の特集テーマに沿った現状分析と課題提起)
- 第2部: 現下の政策課題への対応(子ども・子育て、医療、介護、年金、雇用、労働条件、生活支援など分野別)
- 資料編: 制度の概要、統計資料、施策の一覧
PDF資料(厚生労働省公式サイト)
白書本文は厚生労働省の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。
PDF版を閲覧する(外部サイト) →厚生労働白書の他の年版
高齢者人口がピークを迎える2040年を見据え、医療・介護・福祉の現場の人材確保を特集。担い手不足への国民の不安、病院の58.0%が赤字という経営環境、ICT・AI・ロボット活用による生産性向上と業務の再設計の必要性を整理。
次世代の主役となる若者に向けて、社会保障・労働施策の役割と知ることの意義を解説する第1部。高校生3,000人調査で各制度への関心と理解の現状を示し、社会保障教育・労働法教育の効果と、全世代型社会保障に向けた今後の方向性を整理。
こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会をテーマに、ライフステージごとのストレス要因と、デジタル化や孤独・孤立など現代社会特有の要因を特集。精神疾患の患者数や自殺の動向を示し、学校・地域・職場での取組みと今後の方向性を整理。
単身世帯の増加などを背景に顕在化した制度の狭間にある課題と、ポストコロナの時代に求められるつながり・支え合いの在り方を特集。8050問題やひきこもり、ヤングケアラーなど複雑化・複合化した課題への、制度の垣根を超えた支援とデジタル活用の状況を整理。
現役世代の急減を見据え、社会保障を支える人材の確保を特集。2040年に医療・福祉分野で96万人の担い手不足が見込まれるとの推計を示し、医師・看護師・介護職員など10職種の人材確保の取組成果と、担い手不足の克服に向けた方向性を整理。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が国民生活に与えた影響と対応を特集。仕事や収入の急減、孤立の深刻化、女性・子ども・医療福祉現場への影響を分析し、リーマンショック時や海外との比較から、社会的危機における社会保障の役割と課題を整理。
出典と引用について
本ページの概要・解説は白書ポータル編集部が厚生労働省の公式ページと白書本文をもとに執筆したものです。 白書本文の著作権は厚生労働省に帰属します。本文の数値・図表を引用する際は「令和2年版 厚生労働白書」と該当ページを明記し、厚生労働省の利用規約に従ってください。