令和5年版 経済財政白書

内閣府令和5年版公開: 2023年8月ページ最終更新 執筆: 白書ポータル編集部

この年版の概要

副題「動き始めた物価と賃金」の下、40年ぶりの物価上昇と30年ぶりの高い水準の賃上げを受けたマクロ経済の動向と物価の基調を分析。若年層の所得と結婚・出産の関係など家計の所得向上と少子化の論点、企業の収益性向上に向けた課題を整理。

令和5年版 経済財政白書は、内閣府(内閣府 政策統括官(経済財政分析担当))が2023年8月に公表した経済財政白書の令和5年版です。経済財政白書は法定白書ではなく、閣議に配布される「年次経済財政報告」を一般向けに刊行したもので、例年毎年7月下旬〜8月に公表されています。 翌年版は令和6年版 経済財政白書、前年版は令和4年版 経済財政白書です。

公表当時の背景

2023年は資源価格の高騰と円安を背景に消費者物価の上昇が続き、春季労使交渉では30年ぶりの高い水準の賃上げが実現した年である。5月には感染症の位置づけが5類に移行し、経済社会活動の正常化が進んだ。政府が少子化対策の強化を打ち出す中、白書は8月29日に公表され、物価と賃金の動きに加えて、家計の所得と少子化の関係、企業の収益性を主要テーマに据えた。

この年版のポイント

正式名称・テーマ: 令和5年度 年次経済財政報告 / 動き始めた物価と賃金

  1. 40年ぶりとなる物価上昇と、春季労使交渉で30年ぶりの高い水準の賃上げが実現したことを踏まえ、物価と賃金が大きく動き始めた局面と位置づけている。第1章ではこうした変化を踏まえてマクロ経済の動向と物価の基調を分析し、景気の現状と先行きの課題を整理している。
  2. 物価上昇が輸入物価の上昇によるものから国内の価格・賃金の動きへ広がっているかを点検している。40年ぶりの物価上昇が一時的なものにとどまるか、物価と賃金がともに上昇する経済への移行が進むかを見極める観点から、物価の基調とデフレ脱却に向けた課題を整理している。
  3. 第2章で家計の所得向上と少子化をテーマに、若年層の所得環境が結婚や出産に与える影響を分析している。30代男性の未婚率が所得によって大きく異なることを示した分析は、公表後にメディアやSNSで注目され、所得向上と少子化の関係が議論されるきっかけとなった。
  4. 少子化傾向の反転に向けて、若い世代の所得を高めることや、共働き世帯が子育てと仕事を両立できる環境づくりが重要だとしている。家計の所得向上と少子化への対応を切り離さず、若い世代の暮らしと働き方に関わる一体の課題として論じている点が本年版の特徴となっている。
  5. 第3章で企業の収益性向上を取り上げている。物価と賃金が動き始めた環境の下で、企業が適切な価格設定や投資を通じて収益力を高め、持続的な賃上げの原資を確保していくための課題を分析し、家計の所得向上と企業部門の収益や投資の動きを結びつけて論じている。

出典: 内閣府「令和5年度 年次経済財政報告」説明資料 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。

前年版からの変化

前年版の令和4年版 経済財政白書と比べて、主に次の点が変わっています。

  • 前年版が輸入インフレを主因とする物価上昇を分析したのに対し、本年版は春季労使交渉の高い賃上げを受けて物価に加え賃金も動き始めた局面と捉え、物価と賃金の関係を副題に掲げた。
  • 前年版で触れた少子化の早期反転を、家計の所得向上と結びつけて独立した第2章で分析した。若年層の所得と未婚率の関係など、家計の視点から少子化の背景を掘り下げている。
  • 前年版の第3章が成長力拡大に向けた投資の課題を扱ったのに対し、本年版は企業の収益性向上を章のテーマに据え、賃上げの持続性を企業の稼ぐ力の面から検討する構成になった。

主なキーワード

物価と賃金少子化企業の収益性

経済財政白書とは

経済財政白書は、内閣府が毎年まとめる日本経済のマクロ分析報告です。正式名称は「年次経済財政報告」で、景気の現状判断に加え、その年の政策論点(物価と賃金、生産性、人口減少、財政の持続可能性など)を統計データと計量分析で検証します。各年版には「—」で区切られたサブタイトルが付き、その年の分析テーマを端的に示しています。

例年の構成
  • 第1章: 日本経済の現状と課題(景気動向・物価・雇用・金融のマクロ分析)
  • 第2章・第3章: その年のテーマ分析(例: 賃金と物価の関係、企業の投資行動、家計の所得と消費)
  • 「むすび」: 全体の要約と政策への含意
  • 付注・付図表: 推計手法と統計の出典。本文の数値を再利用するときに参照する
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