令和2年版 経済財政白書

内閣府令和2年版公開: 2020年11月ページ最終更新 執筆: 白書ポータル編集部

この年版の概要

副題「コロナ危機:日本経済変革のラストチャンス」の下、感染症拡大が家計・企業・対外経済、賃金・物価に与えた影響と財政金融政策の対応を分析。テレワークなど働き方改革の進捗、女性の「L字カーブ」解消を含む継続就業、ネット消費などデジタル化の動きと課題を整理。

令和2年版 経済財政白書は、内閣府(内閣府 政策統括官(経済財政分析担当))が2020年11月に公表した経済財政白書の令和2年版です。経済財政白書は法定白書ではなく、閣議に配布される「年次経済財政報告」を一般向けに刊行したもので、例年毎年7月下旬〜8月に公表されています。 翌年版は令和3年版 経済財政白書です。

公表当時の背景

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大により4月に緊急事態宣言が発出され、経済活動が大きく制約された年である。4〜6月期の実質GDPはリーマンショック時を上回る過去最大の減少となった。テレワークやオンライン化が急速に広がる一方でデジタル化の遅れが浮き彫りになり、白書は今こそ長年の課題に取り組むべきだとの危機感から副題を「変革のラストチャンス」とし、働き方改革とデジタル化を中心テーマに据えた。

この年版のポイント

正式名称・テーマ: 令和2年度 年次経済財政報告 / コロナ危機:日本経済変革のラストチャンス

  1. 2020年4〜6月期の実質GDPがリーマンショック時を上回る過去最大の減少となったことを踏まえ、第1章で感染症が家計・企業・対外経済や賃金・物価に与えた影響と財政金融政策の対応を分析している。あわせて景気循環の検証も行い、感染症拡大前後の景気の動きを整理している。
  2. 感染症の下で家計の消費と企業の生産・投資が大きく落ち込む中、需要喚起のための給付金など政府支出の効果を取り上げている。感染拡大の防止と経済活動の両立に向けた家計・企業の動きとあわせ、財政金融政策が経済の下支えに果たした役割についても整理している。
  3. 感染拡大の下で広がったテレワークなど柔軟な働き方に着目して、働き方改革の進捗を確認している。コロナ後の経済のカギとして、テレワークを通じた生産性の向上を図ることや、IT関連の業種に限らず幅広い産業でIT人材を雇用していく必要性を指摘し、デジタル化の遅れへの対応を求めている。
  4. 第3章で女性の就業と出生を巡る課題と対応を取り上げている。女性の正規雇用比率が若年期をピークに年齢とともに低下する「L字カーブ」の解消を含め、出産・子育て期を通じて働き続けられる継続就業の促進に向けた動きと、就業と出生を両立させるための課題を分析している。
  5. 「新たな日常」に関連して、ネット消費の拡大などデジタル化による消費の変化と、デジタル化に向けた投資の課題を取り上げている。感染症によってデジタル化の遅れなど我が国経済が抱えてきた長年の課題が表面化したとし、今こそこれらに取り組み経済を変革しなければならないとしている。

出典: 内閣府「令和2年度 年次経済財政報告」目次ページ をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。

前年版からの変化

  • 感染症拡大前の経済を対象とした前年の令和元年版に対し、本年版は感染症による経済の急激な落ち込みとその影響を第1章の中心に据え、家計・企業・対外経済の各面から分析する構成になった。
  • 公表が例年の7〜8月から11月6日となり、2020年4〜6月期の過去最大の落ち込みを含む局面を分析対象とした。副題に「変革のラストチャンス」を掲げ、強い危機感を前面に出している。
  • 働き方改革とデジタル化をコロナ後の経済のカギとなるテーマとして位置づけ、女性の就業と出生を巡る課題を独立した章で取り上げるなど、感染症を契機とした経済社会の構造変化への対応を前面に出した。

主なキーワード

コロナ危機L字カーブデジタル化

経済財政白書とは

経済財政白書は、内閣府が毎年まとめる日本経済のマクロ分析報告です。正式名称は「年次経済財政報告」で、景気の現状判断に加え、その年の政策論点(物価と賃金、生産性、人口減少、財政の持続可能性など)を統計データと計量分析で検証します。各年版には「—」で区切られたサブタイトルが付き、その年の分析テーマを端的に示しています。

例年の構成
  • 第1章: 日本経済の現状と課題(景気動向・物価・雇用・金融のマクロ分析)
  • 第2章・第3章: その年のテーマ分析(例: 賃金と物価の関係、企業の投資行動、家計の所得と消費)
  • 「むすび」: 全体の要約と政策への含意
  • 付注・付図表: 推計手法と統計の出典。本文の数値を再利用するときに参照する
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