令和3年版 経済財政白書
この年版の概要
副題「レジリエントな日本経済へ」の下、2021年前半までの経済動向と、デジタル化や温暖化対応を含む経済の対応力・成長力強化に向けた三つの課題を分析。企業からみた経済の変化と課題、情報通信業への投資の遅れ、IT分野などへの労働移動とリカレント教育の論点を整理。
令和3年版 経済財政白書は、内閣府(内閣府 政策統括官(経済財政分析担当))が2021年9月に公表した経済財政白書の令和3年版です。経済財政白書は法定白書ではなく、閣議に配布される「年次経済財政報告」を一般向けに刊行したもので、例年毎年7月下旬〜8月に公表されています。 翌年版は令和4年版 経済財政白書、前年版は令和2年版 経済財政白書です。
公表当時の背景
2021年は感染拡大の波が繰り返されて緊急事態宣言の発出・延長が続く一方、ワクチン接種が進み、経済社会活動の再開が模索された年である。政府は2020年10月に2050年カーボンニュートラルを宣言し、2021年9月にはデジタル庁を設置した。白書は例年より遅い9月24日の公表となり、デジタル化と温暖化対応を、強さと柔軟性を備えた経済社会への変革の柱として位置づけて分析している。
この年版のポイント
正式名称・テーマ: 令和3年度 年次経済財政報告 / レジリエントな日本経済へ:強さと柔軟性を持つ経済社会に向けた変革の加速
- 第1章で2021年前半までの経済動向を振り返り、感染症の下での企業の生産・利益・投資や、雇用・物価・金融の動きを整理している。感染拡大の波が続く中で、経済社会活動を段階的に引き上げていくことが回復のカギになるとし、マクロ面の課題を論じる構成としている。
- 第1章第4節で経済の対応力と成長力の強化に向けた三つの課題を掲げ、その一つとしてデジタル化を取り上げている。ソフトウェア開発の価格設定のあり方や、ICT人材の配置・投資配分の偏りを論点とし、感染症下で露呈したデジタル化の遅れの背景を分析している。
- 研究開発費が製造業に偏り、DXで中心的な役割を担う情報通信業への投資がGDP比で米国の約4分の1にとどまる現状を示している。ICT人材の不足も踏まえ、デジタル分野への人材と資金の投下を増やすべきだとし、デジタル化を成長力強化の柱に位置づけている。
- 2020年10月の2050年カーボンニュートラル宣言を受け、温暖化対応に伴うエネルギーコストの問題を経済の課題として取り上げている。温暖化対策を加速させながら、それを成長につなげていく必要性を論じ、デジタル化と並ぶ変革のテーマとして位置づけている。
- 第2章で企業からみた我が国経済の変化と課題を扱うほか、感染症を経たサプライチェーンの強靱化や、IT分野などへの労働移動を促すリカレント教育を課題に挙げている。強さと柔軟性を備えた経済社会に向けて、企業と働き手の双方に求められる対応を論じている。
出典: 内閣府「令和3年度 年次経済財政報告」説明資料 をもとに白書ポータル編集部が要約。数値は資料記載時点のもの。
前年版からの変化
前年版の令和2年版 経済財政白書と比べて、主に次の点が変わっています。
- 前年版の「変革のラストチャンス」という問題意識を引き継ぎつつ、副題に「レジリエント」(強さと柔軟性)を掲げ、感染症への対応力と成長力の強化を両立させる変革の加速へと焦点を移した。
- 前年版が働き方改革と女性の就業・出生を章として取り上げたのに対し、本年版は第2章で企業からみた我が国経済の変化と課題を扱い、企業の生産・投資の動きに焦点を当てる企業側の視点を強めた構成になった。
- デジタル化に加え、2050年カーボンニュートラル宣言を受けた温暖化対応とエネルギーコストが新たな論点として加わった。デジタル化については情報通信業への投資の国際比較も示され、人材と資金の配分という観点から分析されている。
主なキーワード
経済財政白書とは
経済財政白書は、内閣府が毎年まとめる日本経済のマクロ分析報告です。正式名称は「年次経済財政報告」で、景気の現状判断に加え、その年の政策論点(物価と賃金、生産性、人口減少、財政の持続可能性など)を統計データと計量分析で検証します。各年版には「—」で区切られたサブタイトルが付き、その年の分析テーマを端的に示しています。
- 第1章: 日本経済の現状と課題(景気動向・物価・雇用・金融のマクロ分析)
- 第2章・第3章: その年のテーマ分析(例: 賃金と物価の関係、企業の投資行動、家計の所得と消費)
- 「むすび」: 全体の要約と政策への含意
- 付注・付図表: 推計手法と統計の出典。本文の数値を再利用するときに参照する
PDF資料(内閣府公式サイト)
白書本文は内閣府の公式サイトで PDF として無償公開されています。章ごとの分割 PDF と全文 PDF が用意されているのが一般的です。
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2026年春の中東情勢緊迫化による原油価格上昇が物価・賃金に与える影響と、デフレ脱却の4指標を点検。賃金・物価・金利が変動する経済が家計に与える影響、AIによる業務代替など労働市場の変化、金利上昇下での企業の設備投資の積極化を分析。
戦後3番目の長さとなった景気回復局面と米国の関税措置などの先行きリスクを分析。食料品を中心とした物価上昇の下での賃上げと物価の好循環、所得対比で緩やかな個人消費の回復、労働市場の構造変化、企業資金の国内投資への転換を検証。
副題「熱量あふれる新たな経済ステージへ」の下、名目GDPの過去最高水準、33年ぶりの高水準の賃上げと価格転嫁の進展を踏まえ、デフレに後戻りしない経済構造への移行を分析。人手不足下の転職市場と省力化投資、外国人労働者、家計資産などストック活用の課題を整理。
副題「動き始めた物価と賃金」の下、40年ぶりの物価上昇と30年ぶりの高い水準の賃上げを受けたマクロ経済の動向と物価の基調を分析。若年層の所得と結婚・出産の関係など家計の所得向上と少子化の論点、企業の収益性向上に向けた課題を整理。
副題「人への投資を原動力とする成長と分配の好循環実現へ」の下、感染症後の実体経済、原材料価格の上昇とデフレ脱却、財政の現状を分析。人口減少下の労働力の確保と質の向上、男女間賃金格差やリスキリング、成長力拡大に向けた投資の課題を整理。
副題「コロナ危機:日本経済変革のラストチャンス」の下、感染症拡大が家計・企業・対外経済、賃金・物価に与えた影響と財政金融政策の対応を分析。テレワークなど働き方改革の進捗、女性の「L字カーブ」解消を含む継続就業、ネット消費などデジタル化の動きと課題を整理。
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出典と引用について
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